ストロークに適したパドルの握り方 – フォアハンドストローク編

基本

[2019年11月5日 追記]
 この記事はボールの軌道が水平に近いストロークを打つ場合を前提としていることが明確になるよう、2ヶ所の赤下線部分を本文中に追記しました。

[2019年11月11日 加筆修正]
 4項の結論の部分を加筆修正しました。
 ① 自分の体勢を低くすることで相対的に打点を高くする
 ② グリップチェンジ



この記事ではピックルボールのフォアハンドストロークに適したパドルの握り方について解説します。
(注) この記事は、ボールの軌道が水平に近いフォアハンドストロークを打つ場合を対象としています。

バックハンドストロークに適したパドルの握り方については、別の記事で解説する予定です。

なお、この記事の解説にあたっては、テニスと共通の握り方4種類、およびピックルボール独自の握り方1種類の計5種類の握り方の情報を必要とします。
この5種類の握り方がわからない方は、まず以下の記事をご覧ください。

ピックルボールにおけるストロークの必要性について

ピックルボールの基本的な戦略に則って試合をすると、第4打以降はお互いがネットに詰めて戦うことになります。

  
ピックルボールの基本的な戦略   

第1打 サーブ
第2打 リターン
第3打 サードショットドロップ
第4打以降 試合の状況に応じたショット(ディンクショットのラリー、その他)


そのため、ストロークでボールを打つ機会は非常に限られますが、それでもリターンをストロークで打つ機会は多くあります。
また、リターンやサードショットの後ですぐにネットに詰められなかった場合には、ネットに詰めるまでの間に相手との数回のやり取りが発生し、その中でストロークを打たなければならなくなることもあります。
このような理由から、ピックルボールでもストロークを打てるようになっておくことはとても大切です。

それでは、フォアハンドストロークに適したパドルの握り方の解説を以下の順に進めて行きます。

目次

  1. インパクト時のフェイス面について
  2. 握り方ごとのフェイス面について
  3. ピックルボールのボールの弾みについて
  4. 結論:ストロークに適したパドルの握り方

1. インパクト時のフェイス面について

インパクトとは、ボールがパドルに当たった瞬間のことです。
ボールを意図した通りにコントロールするためには、インパクト時にフェイス面が地面と垂直になった状態(または垂直に近い状態)になっていなければなりません。
もしインパクト時にフェイス面が上を向いていたらプレーヤーの意図に反してボールは上に上がってしまい、またフェイス面が下を向いていれば同様にボールは下に行ってしまいます。
つまり、ボールをプレーヤーの意図通りにコントロールするためには、少なくともインパクト時にはフェイス面が地面と垂直になった状態(または垂直に近い状態)になっていなければならないのです。
(注) ボールを上向きに打つロブショットやサードショットドロップの場合には、インパクト時にフェイス面が上を向いていなければなりません。

なお、パドルがボールとインパクトする位置のことを「打点」と言います。

押さえておきたいポイント

打点ではフェイス面が地面と垂直 (または垂直に近い状態) でなければならない。

2. 握り方による打点の違いについて

ピックルボールで用いることができる主な握り方としては5種類ありましたが、これらの握り方は何が違うのでしょうか?

「パドルの握り方」の記事中では、手のV字部分とハンドルの8個の平面の位置との関係で握り方を分けました。
これは握り方によって、手のV字部分の位置とフェイス面との角度が異なっているということです。
つまり、握り方ごとにストロークで打った際の打点が異なっているということを意味します。
言葉だけではなかなか分かり難いと思いますので、このことを図で説明したいと思います。

なお、以下の図は「自分から見た、肩と腕の関係のみ」を表しているものと捉えてください。
実際のストロークでは体の回転運動によって肩が前後方向に移動するため、ストロークをしている人を周りの人が見た図にするととても複雑な図になってしまいます。
しかし、自分の視線で自分の腕を見た図にすると非常にシンプルな図として表せることから、今回はこのような図を採用しています。
また、以下の図は右手でパドルを持った場合の図になります。

5種類の握り方を厚い握り方から薄い握り方まで順に並べ、色分けした図です。
この後の説明で使用します。
ウェスタングリップが一番厚い握り方になり、コンチネンタルグリップとVグリップが一番薄い握り方になります。

それぞれの握り方ごとの打点の位置を体の右側から見た図です。
厚い握り方ほど打点が上になり、薄い握り方になるほど打点が下になります。

それぞれの握り方ごとの打点の位置を体の上側から見た図です。
厚い握り方ほど打点が体の前の方になり、薄い握り方になるほど体の横の方になります。


つまり、握り方が厚くなるほど打点は上の方、かつ前の方になります。

押さえておきたいポイント

握り方が厚いほど、打点の位置は高くなる。

3. ピックルボールのボールの弾み方について

ここではピックルボールのボールの弾み方について解説します。
なお、ピックルボールのボールと硬式テニスボールの弾み方を比較することで、ピックルボールのボールの弾み方の特徴が明確になるようにしてみたいと思います。

ボールの弾み方についてはそれぞれのレギュレーション(Regulation、規制)で定められていますので、まずは双方のレギュレーションのボールの弾みに関する部分を以下に書き出してみます。
なお、レギュレーションには多くの項目が規定されていますが、ここではこの記事の目的である弾み方の部分についてのみ取り上げます。

ピックルボールのボールの弾み方に関するレギュレーション

198.1cmの高さから落とした時に、ボールの上部部分が76.2cmから86.4cmの間で弾むこと

Bounce. The ball shall have a bounce of 30 to 34 inches (76.2 to 86.4 cm) to the top of the ball when dropped from a height of 78 inches (198.1 cm) onto a granite surface plate that is a minimum of 12 inches (30.5 cm) by 12 inches (30.5 cm) by 4 inches (10.2 cm).

USAPA/IFP Rulebook
https://www.usapa.org/docs/ifp/USAPA-Rulebook.pdf

硬式テニスボールの弾み方に関するレギュレーション

254cmの高さから落とした時に、135cmから147cmの間で弾むこと

The rule specifying how the ball should bounce was set in 1925 and is still in use today. The test involves dropping a ball vertically from a height of 254 cm (100 inches) and measuring the rebound, which should (for all Type 2 balls) be 135-147 cm (53-58 inches). The range for balls for use at high altitude is 122-135 cm (48-53 inches).

ITF TENNIS.com
https://www.itftennis.com/technical/balls/approval-tests.aspx

比較

双方のレギュレーションの弾み方に関する部分を書き出してみましたが、弾み方を測るための基準となる「落とす高さ」が異なっているため、このままでは単純に比較することができません。
そこで、ここでは弾み率という簡単な定義を用いて正規化し、比較してみたいと思います。

 弾み率 (%) = (弾んだ高さ / 落とした高さ) x 100

この定義で双方の弾み率を比較してみると、以下のようになります。

 ピックルボールのボールの弾み率: 38 ~ 44 %

 硬式テニスボールの弾み率: 53 ~ 58 %

この数字からわかることは、ピックルボールのボールは硬式テニスボールと比較するとあまり弾まないということです。

また、ピックルボールで使われる横方向の回転が強くかかったボールや、スライス回転系のボールは通常のボールよりも更に弾まなくなります。

押さえておきたいポイント

ピックルボールのボールはあまり弾まない。

4. 結論:ピックルボールのストロークに適したパドルの握り方

ここまで以下のポイントを挙げてきました。

  1. 打点ではフェイス面が地面と垂直(または垂直に近い状態)でなければならない。
  2. 握り方が厚いほど、打点の位置は高くなる。
  3. ピックルボールのボールはあまり弾まない。

これらのことより、次のことが言えます。

ピックルボールのボールはあまり弾まないため、打点が低くなる。
従って、打点が高くなってしまう厚い握り方では、ピックルボールの弾まないボールには対応し辛い。

つまり、打点の高い厚い握り方のウェスタングリップやセミウェスタングリップは、ピックルボールでは使い難いのです。

結論

ピックルボールのフォアハンドストロークに適している握り方は、

コンチネンタルグリップ
イースタングリップ
Vグリップ

であるということになります。

もちろんこれは通常のボールに対する一般的な話であり、ピックルボールで厚い握り方が全く使えないということではありません。
例えば、以下のような場合には厚い握り方を使うことも可能です。

① 高いロブをバウンドさせた場合
 この場合はボールが高く弾むことから打点を高くすることができ、厚い握り方で打つことが可能になります。

② 自分の体勢を低くした場合
 自分の体勢を低くして相対的に打点を高くすることにより、厚い握り方で打つことが可能になります。

ただし、あまり練習していない握り方での打ち方を実戦でいきなり使ってもミスすることが多くなってしまいます。
もし厚い握り方で打ちたい場合には、厚い握り方でストロークを打つ練習を十分に行ってその感覚を身につけておかれることを強くお薦めします。

また、ピックルボールはベースラインでプレイするよりもネットの近くでプレイする方が圧倒的に有利になるためネットに詰めることを戦略の基本としますが、ネットの近くでプレイするとなると当然ボレーで対応することが多くなります。
ボレーはパドルを薄く握っている方が圧倒的に処理し易くなります。
従って、厚い握り方でストロークを打ったとしても、ネットに詰めた際には薄い握り方に持ち替える必要があり、そのためにはグリップチェンジというパドルの操作が必要になります。
グリップチェンジを行うにはある程度の慣れが必要になりますので、厚い握り方を使用される場合には併せてグリップチェンジの練習もされておかれることをお薦めします。